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BASSO memo

ブログ兼備忘録としてのメモ帳みたいなものです

超個人的レビュー『kicks』

ようやく折り返し地点。
5枚目のアルバムのレビューであります。

とは言え、逆を言えば、
今回を含んで残り3回を数えるのみという事です。

そう思うと少し早い季節の変わり目のような気分にさせられます。
外は、春一番が吹いたそうですね。

風が強い云々よりも、花粉がひどいかったようです。
花粉症の方々は、お疲れ様です。


そんな訳でありまして、
超個人的レビュー、
佳境の後半戦に入る訳です。

※あくまで個人の感想であり、
楽曲の質を実証するものではありません。

では、





kicks

98.3.25リリースのASKAさん5作目のソロアルバム。

前項でも書いたように、
前作のアルバムと、それに伴うコンサートツアーの後、

CHAGE&ASKAとして活動する予定だったものを、
一度白紙に戻し、

再度、ソロとしての活動を模索する中で発表された作品。

『ONE』のちょうど1年後に発売されるという、
極めて短い時間で制作されたが、
完成した作品は、その制作期間の短さに反比例するかの様に、
極めて高い作家性を表現、

同業者の中でも、
ASKAさんの作品の中でもこの1枚が一番好きなアルバムと推すミュージシャンも少なくない。

事実、この作品は従来のASKA作品の中でも、特異な位置付けをされており、

CHAGE&ASKAASKAではなく、

一人のミュージシャン、ASKAとしての印象を強く訴えるものとなっている。

その反面、今までのイメージを覆す強烈なアイテムだった為、
今でこそ、慣れ親しまれているが、

リリース当時は、賛否両論で、
ファンの中で混乱と物議を醸し出した。


この作品の特異な点として顕著なのは『コンセプト』

元来、『ASKA』という作家は時代性に囚われず、その時に良いと思う楽曲を発表するミュージシャンとして認知されていた。

だが、この作品では敢えてその時代性を取り込み、作品全体に漂う空気感にも統一性を持たせている。

コラージュを主としたアルバムのアートワークにもその意図が見てとれる。

そのコンセプトとは、

『ロックとクラブミュージックの融合』

ASKAさん特有のメロディーと歌詞のセンスに、
楽曲のエッセンスとしてUKハウスを中心としたダンスミュージックのリズム感を抽出し、
オリジナルのものとして、昇華している。


ミクスチャーロックと日本で呼ばれるようになるコンセプトに非常に近い思考である。

だが、このミクスチャーロックがメインストリームで扱われる様になるには、
この後、更に数年の時を待たなければならない。

そんなASKAさんの早すぎる先見性も垣間見れる1枚。


♯1 No Way

アルバムの雰囲気の違いを、
あきらかに一発で理解させるような意志を感じる楽曲。

歌詞にも明確な違いを見せていて、
今までは強めの歌詞でも比較的ピースフルな事が多かったが、

今作は、今までは隠れていたかの様に、
攻撃的、退廃的、そして淫靡な歌詞が、
比喩表現上ではあるが、ダイレクトに描かれている事が多い。

この曲でも、


こんな夜景にナパームをぶち込むような
画面を浮かべた


女は生まれたばかりの姿で
絡む蔓になって
乾いた場所を避けて延びつづける


と、なかなかダイレクト。
これまでにも近しいニュアンスはあったが、楽曲のテイストも相まって、
より直接肌に触られているような感触で聴こえてくる。


♯2 Girl

98.3.11リリースの先行シングル。

流麗なガットギターの音色が印象的かつ美しい。

のだが!!
(↑このノリは久しぶりな気がする…笑)

僕のこの作品の印象は、
僕のバンド時代、最初期のボーカル(当時、僕はベーシスト)によって、
偏ったイメージを植え付けられる事になる。

鬼平犯科帳

「っぽくね?」
とは、件のボーカルの言。

「はっはっは、んな訳あるかい」
とは、ベーシスト(僕)の言。

じゃあ、聴いてみようと、

当時はYoutubeも普及していなかった時代。

わざわざCDを(中古でしたが)購入して、メンバー宅にて試聴しました。

「………。ほんまや!!」

と、明石家さんまさんの鉄板ノリツッコミの如く(僕が本当に当時そんな喋り方をしたかは、さておき)
僕は驚愕した訳でありました。

いや、部分的なテイストですけどね、
ASKAさんが『鬼平犯科帳』を意識したとは到底思えませんので(笑)

ちなみその曲はエンディングテーマです。
ジプシーキングスのインスピレーションという曲ですので、

ご興味を持たれた方はお聴き下さい。


♯3 NOW

ロックです。
とてもとても、ロックです。

過去、CHAGE&ASKAも含むASKAさんの作品の中で、
ここまでストレートにロックを表現した楽曲は記憶にありません。

ですが、そんなロックな楽曲が、
このアルバムには他にもあります。

引き出しの多さにびっくりさせられますが、
歌詞もびっくりさせられます。

特に2コーラス目の後、Dメロ。


真夏の海洋で 虹の恐竜を
生け捕るんじゃないんだ


もうね、
びっくりし過ぎてよくわかりません(笑)

ビジョンは言われりゃボンヤリわかりますが、
その発想がもう…、
おcrazy過ぎて(笑)

この楽曲、カッコいいです。


♯4 In My Circle

独創的な楽曲が並ぶこのアルバムにあって、
この音は、今までのASKAの楽曲に近い肌触りで、
聴きやすい曲ではないでしょうか?

どこか牧歌的な、のどかな印象ですが、
内省的な歌詞が、ASKAさんの一人の男としての、
素の表情を見せてるようで、
ハッとさせられる瞬間が多いのも、
このアルバムの特徴の様な気がします。


♯5 遊星

子守唄にも使えそうな気がするオケですが、

どっこい、どこまでも伸びる主張の強いASKAさんのボーカルが気になって眠れません。

とてもキレイな楽曲ですが、
やはり内省的な歌詞が目立ちます。

と言うか、この『kicks』というアルバム。
手放しにハッピーエンド、という曲は皆無だと思えます。

マイナー調に進んでいく曲で歌詞も少し寂しげですが、
ラストのストリングスアレンジもあるお陰で、
1曲聴いた後、ふんわりと幸福感に包まれる。

そんな不思議な曲です。


♯6 馬をおりた王様

王様です。
王様なんです。
Kingです。Princeではありません(笑)

『In My Circle』『遊星』
そしてこの、
『馬をおりた王様』
1セットでお聴きください。

魅力だらけのアルバムではありますが、
この3曲だけでも、
買う価値のあるアルバムだと思います。


♯7 同じ時代を

何回かこのレビューでも紹介しているムック『ぴあ&ASKA
ファンが選ぶ好きな曲の第3位にランクインした楽曲。

当時はわかる由もないですが、
今のASKAさんのブログに於けるキーワード、

『絆』

これを分かりやすい形で表現した曲ではないかな?と思います。

まぁ、歌詞の内容としては、『ASKAさんの曲を聴くリスナー』という括りではなく、
もっと世界規模としての話だとは思いますが、

『はじまりはいつも雨』みたいにCHAGE&ASKAでライブで演ったら面白そうだなぁ、
なんて考えもします。

『NO PAIN NO GAIN』みたいな感じになりそうです。


♯8 Tattoo

帰ってきたロック野郎(笑)

徹底的にエロスです。
CHAGE&ASKAの『HOTEL』越えです。

プレイ嗜好の生々しさで、
乙女は鼻血ものです(笑)

歌詞の文字量(そんなもの基準にはなりませんが)は、さして多くないのですが、

情報の少なさに対しての密度がすごいです。


口には出せないことしよう


………、
一体どんなことですか!?(笑)

毛布代わりに女性を抱いたことも無ければ、
『YES』と言いそうな女がいた経験もありません。

もっぱら土下座してお願いしてます(笑)
嘘です。

ミュージシャンて、やっぱりモテます。

さぁ、今年は真面目に音楽やろっかなぁ~♪(笑)


♯9 Kicks Street

アルバムのタイトルを冠する楽曲でありながら、
恐らく、アルバムで一番異質な曲。

タイトル曲なのに、アルバム収録を議論しちゃうくらい(笑)

ひたすらブルージーな枯れた雰囲気が、
場末のバーみたいで、
「マスター、バーボン1つ」とか、
言っちゃいそうな気がします。
で、僕はそれやったら1杯で、
逝っちゃいそうな気がします。

余談でした。

世界観こそ複雑ですが、
単純にASKAさんのボーカルバリエーションも楽しめるアルバムとしては、
とても振り幅がでかいアルバムだと思います。

教科書にはなりません。
この人を真似出来る人は少ないでしょうから。


♯10 花は咲いたか

『Girl』のカップリング。
主人公が友人に向けた応援歌という事だが、

歌詞の内容のせいもあって、
友人とは、CHAGEさんの事じゃないか?
と言うファンが続出した楽曲。

後に正式にASKAが否定しているがファンは諦めきれない様子。

でも、そうすると、
この主人公は、かなり意地が悪いが、
いいのだろうか?


『花は咲いたか』?

と、質問しているのに、
『大したことはない 朝がくりゃ おはようだ』

なんて、失敗する前提でフォローまで用意してる。


と、言う穿った見方をする、
僕みたいな天の邪鬼は少数でしょうから、
気にしないでいきましょう(笑)

でも、今回レビューするに当たって、
歌詞を見直しましたが、

やっぱりCHAGEさんの事って思いますよねぇ(笑)





と言う訳で、

アルバム『kicks』ですが、
やはり一つ抜けて毛色が違う気がします。

元々、アルバム毎に違う色を出すミュージシャンだとは思いますが、

このアルバムが、ある意味一番、
素のASKAさん。
リミッターが無いASKAさんなのではないかとお思います。
多分、一番振り切った感のあるアルバムなのではないでしょうか?


この後、ASKAさんの作品性は、
この『kicks』の様な独創的な部分も含みながら、
大衆性も意識する楽曲を制作し、

その様は昔気質の職人よろしく、

1曲1曲が冗談抜きで、
伝統工芸品の様なクオリティーを出してくる事になります。

次項は久しぶりにリリースされる『SCENE』シリーズ、
『SCENE Ⅲ』を聴いてみましょう。







































♯11

90年代後期、世界中の音楽業界で何故か、
CDアルバムの隠しトラックが爆発的に流行した時期があり、

なんと、この『kicks』もご多分に漏れず隠しトラックが採用されています。

このレビューは、そのオマージュです(笑)

ですが、はじめて聴いたそれは僕にはあまり馴染まないものでした。

『Girl』のインストゥルメンタルを基調とした楽曲なのですが、

何せサンプリングの嵐、嵐、嵐。

僕が今までに持ってたASKAさんの音楽性の像には、
今イチ、この楽曲のピントが合わなかったのです。

数年経って、意識的に聴いたら、
とてつもなくカッコ良かったです(笑)


コンセプトである。
『ロックとクラブミュージックの融合』

これは、
実はこの楽曲が、一番端的にこのコンセプトを表現しているんじゃないかと思います。

このトラックありきで、
『kicks』は1枚のアルバムとしての精度を、
より高めたのではないかと思う楽曲です。


では改めて、
次項、
『SCENE Ⅲ』を聴いてみましょう。